第一章 1 近代世界の捉え方
I 近代化の歴史像
第一章 近世から近代への移行
1 近代世界の捉え方 ←ココ
初見ではクソ難しかったが、読書会で解説を聞いてから読み直すと割とわかるようになったmrsekut.icon
この章は、基本的に大塚史学を批判しているmrsekut.icon しかし、大塚史学にはいくつかの問題点が存在する
大塚
イギリスの産業革命
封建制を廃棄することで成立
これが資本主義の発達に必要な条件と捉えた
一次史料あたる研究手法は当時(1940~1950頃)はなかった
大塚は、欧米の二次史料をもとに理論化した
社会現象を、自然科学と同じように捉えるためにWeberの社会学が参考になる
社会的行為の意味を解明することで、原因と結果の因果関連を分析
お金を得る目的で金を得たわけじゃない感じ
ピューリタニズムのような禁欲的な合理主義が、経済人の人間類型を生むため資本主義の発達と相性が良い 一方で、儒教のような、世界をそのまま是と捉えるものはそうではないため資本主義の発達の障害になっている
そこまでは言ってないかmrsekut.icon
イギリスの産業革命こそがモデルで、他の国もそこを目指すべきという前提がある
遅れてる国は後から追いかけるはずだ、とみなしがち
政治と経済の革命こそが正しく、
それを順調に進めた国と、
そうでない国とにパターン化している
遅れてる国は後から追いかけてくるもの、と見なしている
近代的人間類型がいないから戦争が起きる
合理的、 禁欲的に経済活動を展開する人間たちが 「近代」を生み出した、と捉えた
「経済人」と「市民」という2つの人間類型が存在することで資本主義化に寄与する
「生産」にのみ着目する
日本の近代は、西ヨーロッパの近代と比べて不十分
近代的主体を育成する必要がある
批判
1970年頃から大塚への批判が強まる
大塚の描く人間類型には以下のものが混在してしまっている
歴史的にそうであったという歴史解釈
人間社会はこう あるべきとする価値意識
従って、自分の理論に併せて都合の良い史実を繋ぎ合わせているに過ぎない
4つの批判があるある
帝国主義をめぐる認識が薄く、(イギリスの)資本主義の展開の過程が議論されていない
資本主義の先発・後発を「人間類型」で理解しており、
国ごとに資本主義が展開される時期のズレを考慮していない
大塚はWeberから近代理念を読み解いている
「外部」と「客観性」の位置取りを誤っている
そもそも歴史を語る時に、外部に立つことは不可能では、と批判される
国や国民を単位として見るのではなく、世界全体のシステムで歴史が動いていると捉える
これは、イギリス産業革命をモデルにして他の国々が追随すると捉える大塚史学とは全然異なる捉え方mrsekut.icon
世界商品を主人公にして歴史を見ることで、各地の人々の繋がりが見える 世界商品の一つとして、砂糖に着目
砂糖に着目することで、大西洋三角貿易からアメリカ独立革命への流れが見える イギリスで産業革命が起きたのは、砂糖や奴隷を取引した商人の富の力によるもの
イギリスは資本主義の「構造化する体制」を巧みに利用して、資本主義と自由主義を展開した
この「構造化する体制」のようなものを「世界システム」と呼ぶ
生産と消費に着目
世界商品の「消費と生産の関係」には、「支配と従属の関係」が入り込んでいる
奴隷側の国が生産し、支配側がそれを消費する
大塚と世界システム論の大きな違い
大塚は、
国という単位で存在し、
先進国がモデルとなり、
後発の国はそれを追いかける
と、捉えている
川北(世界システム論)は、
世界は一連なりであり、
「中心」と「周縁」の国が存在し、
「中心」が「周縁」を従属している